Chus チャウス 那須の大きな食卓

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2017/03/10 Fri

もの凄い鯖

Chusは月に一度のお休みをいただき、
その日はChus店内のお掃除やメンテナンスなどに使ったりしていますが
もうひとつの目的として
スタッフでゲストハウスや料理店、そして生産者さんに逢いに行く日にしています。

今回の目的地は茨城県は波崎。
川向こうには千葉県銚子があるので千葉と茨城の県境の街です。

Chusでも鯖サンドや焼鯖定食として扱わせてもらっている通称「もの凄い鯖」をつくる干物屋さん
の越田商店さん。

「香熟漬け」と名付けられたその鯖の干物は、食べると爽やかな酸味、熟成したお味噌のような風味が鯖独特の旨味に加わっていてとても美味しいのです。

店主の「越ちゃん」こと体格が良く恵比須さまのような笑顔でいつも迎えてくれます。

先代より受け継いで45年。塩と鯖から出てくる旨味エキスだけで出来た漬け汁。
越田さん本人も全国を探してもこうして漬け汁を守っているのはほとんど知らないそうです。

この漬け汁。乳酸菌などの発酵菌が元気にいるそうで、これに漬け込むことで
鯖のタンパク質がアミノ酸、つまり旨味に変わっていくという。
お味噌やお酒などと同じで自然由来の素晴らしい原理を使った発酵食品です。

越ちゃん曰く「この間来てくれたときよりうめぇだろ」とのこと。
毎年日を重ねて美味しくなっていくなんて、本当に素晴らしいです。

シンプルな設えの加工所には長年使い込んだ道具達が美味しさを物語って居る気がします。

約1年半に一度買い替え無ければいけないほど。
計算したら約40万匹を捌いてる。
鋼の包丁が写真のようにだんだんと細くなっていくそうで
巻いてあるさらしもだんだんと堅く、木のようになっていました。
丹念に研いだそれはまるで日本刀のような美しさ。

三枚におろされたあとの中骨たち。
捨てられるものなのになぜだかとても美しい。

仲間のシェフに餞別の言葉として送った言葉。

魚と漬け汁。

越田商店さんはこの二つの素材だけで仕事をしています。
「この漬け汁は捌いた鯖からでるエキスと塩だけでできてる。
だから鯖を捌かないとこの漬け汁もなくなっちまう。
つまりはお客様が食べてくれないとこの仕事もできなくなっちまう。
だからこの漬け汁はみぃんなで作ってるんだ。感謝だよ。」

とまっすぐな笑顔で仕事への想いを僕らに教えてくれた。
この言葉がなんだかとっても響いた一日でした。